過積載発電所の経年劣化シミュレーション
業者が出すシミュレーションって大体0.5%~0.7%/年ぐらいの発電量経年低下を見込んでいますよね。
結晶シリコン太陽電池の劣化率は0.4~0.5%/年と言われているようなので、パネル劣化率としては上記の数値は妥当なところだと思っています。
いや、ちょっと待て。
殆どの業者シミュレーションは、初年の発電量予想値からパネル劣化分ずつ単純に引いているようですが、
イマドキの太陽光発電所においてそれって正しいのでしょうか?
今は~200%ぐらいの過積載が当たり前なので、過積載率に依存してピークカットのロスが発生します。
一方、経年劣化によるパネル出力低下につれて、過積載率が下がっていきます。
このとき、過積載率に依存したピークカット率も下がっていく筈では?
ということでピークカット率を考慮して経年劣化をシミュレートしてみました。
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ピークカット率はWave Energy社の(どっかのセミナーで発表されたという)データを参考に、過積載率140%以上において過積載率+5%に対しピークカット率+1%とします。
パネル出力100kW、PCS出力49.5kW、初年年間発電量100000kWh、年劣化率は0.8%/年の条件で計算
まずはピークカット率の経年変化 横軸:経過年、縦軸:ピークカット率(%)
続いてピークカットが無いと仮定した場合の年間発電量と、上図のピークカット分を引いた年間発電量(kWh)
そして、上図のピークカットあり年間発電量の対初年比と、パネル出力の対初年比(%)
年劣化率は多目の0.8%/年と、ほぼメーカー出力保証のラインに設定したにもかかわらず、発電量低下0.5%/年、20年後に90%の発電量が確保できる結果となりました。
つまりパネルメーカー保証の最低ラインであっても、施工業者のシミュレーションに狂いが出ることはほぼなさそう、という事になります。
ちなみにパネル劣化率0.5%/年でシミュレートすると、発電量低下は0.3%/年前後、20年後94%となりました。この通りに行くと収支はそこそこ上振れしそう。
結論としては、
「パネル経年劣化は過積載でそこそこカバーできる」
と考えます。
一方で、日常の発電量で異常劣化に気付きにくい、と言うことも分かります。
予備能力が高いゆえ、機能低下時に自覚しにくい「沈黙の臓器」肝臓や腎臓と同じようなものですかな。
これらの能力は、生命維持レベルに対し200~700%もの「過積載」をしていますので(笑)
異常に気付くためには定期的な健康診断が重要になりそうです。
なお今回は30年後までシミュレートしていますが、過積載率155%、発電量初年比85%も残るので20年で終わりにするのは勿体ないですね。